男性の不妊症について
男性の不妊症について
2016.11.03
不妊症というと、女性側に原因が求められがちですが、1998年のWHO(世界保健機関)の発表によると下記のような結果が出ています。
女性のみに原因がある … 41%
男性のみに原因がある … 24%
男女ともに原因がある … 24%
原因不明 … 11%
つまり、不妊症の原因の全体の48%は男性側にある(「男女ともに原因がある」を含む)ことが分かります。
こうした、不妊症に関する現実と認識とのズレや、男性の「認めたくない」というある種のプライド、「自分は大丈夫」という根拠のない自信が、治療を遅らせる一因であると考えられます。しかし、それは女性にとって限りのある出産のタイムリミットまでの貴重な時間を無駄に消化してしまうことになります。不妊症において、早期の原因究明と治療のために重要なことは、男性も当事者意識を持ち、夫婦が一緒に診察を受けることです。
また、男性の不妊症には、遺伝的な要素が多い先天的なものと、男性側のストレスや生活環境(食生活、睡眠時間、飲酒、タバコなど)が影響する後天的なものがあり、男性の不妊症患者は潜在的に増えていますが、一見、治療が難しいと思われるケースでも、細かく検査をし、凍結保存や体外受精、顕微授精(IVF)など、経験豊富な専門ドクターの高度な技術を用いることで妊娠が可能になる場合があります。特に1992年の顕微授精の成功以降は、重度の男性因子の方でもほとんどのケースで治療可能な時代となっています。
不妊症は定義上、「健康な男女が、子どもを望んで性生活を行なっているにも関わらず、2年以上、妊娠にいたらない状態」を言いますが、近年、社会における男女の『生き方』そのものの変化や、女性の社会進出などによる晩婚化傾向のため、「妊娠を望んでも、1年以上妊娠しない夫婦」を、不妊症と定義するようになってきています。
(アメリカでは以前より不妊症の定義は1年以上です。)
当院では、女性の不妊症の相談・治療はもちろん、男性不妊専門のドクターが、男性側の不妊の原因究明、及び治療を行なっております。「不妊症かな?」と思われるご夫婦は、お互いを責めず、また思いやることを忘れず、協力し合って治療・改善を進めるために、ご夫婦お揃いで診察にお越しください。