「タイムラプスモニタリングシステム(Primo Vision)」〜妊娠率向上のために〜体外受精の能率・効率を高める最先端の受精培養技術
2014.06.30
妊娠率向上のために
体外受精の能率・効率を高める最先端の受精培養技術
「タイムラプスモニタリングシステム(Primo Vision)」
当院では、体外受精(体外培養)に際して、受精卵のストレスを軽減できる「タイムラプスエンブリオモニタリングシステム(Primo Vision)」を導入いたしました。
Primo Visionは受精卵(胚)を自動検出し、焦点を合わせます。このシステムの特徴は、装置からディッシュを取り出す必要がないため、受精卵に不要なストレスを与えず、観察・確認できることです。
また、このシステムのために開発された専用ディッシュは、受精卵を安全に取り扱うために設計された特殊な形状となっていて、ベストポジションで受精卵を撮影することができます。
体外受精では通常、受精卵は温度や酸素、二酸化炭素の濃度を人の子宮内の環境に近付け、再現した容器(インキュベーター)の中で育てます。
その受精卵の発育状況は毎日、培養士がチェックし、受精卵の形態的な評価を行なっていますが、受精卵の状態を観察するためには、インキュベーターの中から外に受精卵を取り出さなければなりません。しかし、通常、体内で「受精」して「着床」する受精卵にとって、受精卵が外気に曝されるリスクをできるだけ避けるため、基本的には24時間に一度だけしか観察を行なっていません。体外で受精・培養することは想像以上に過酷であるため、培養する上では少しでも受精卵にストレスをかけないことがとても重要であり、体外受精の成否にも影響します。
そのため、今までの方法では観察と観察の間には受精卵にどのような変化が起こっているか、確認することができませんでした。
そこで、当院では患者さまの大切な受精卵へのストレス軽減、及び正確な観察分析をして、より多くの方を妊娠・出産へ導くために、タイムラプスモニタリングシステムを導入しました。
同システムを使い、インキュベーターの中から外に受精卵を取り出すことなく、受精卵撮影専用のカメラで受精後〜胚盤胞になるまでの成長過程を撮影することによって、受精卵の変化の過程や重要なポイントをモニターの画像により詳細に捉えることができるようになります。
また、一定の間隔で撮影した写真を連続して記録するため、これらをつなぎ合わせると受精卵の細胞分裂の様子を動画のように確認することができます。この画像を解析し、細胞分裂のタイミングなどを観察することで、より妊娠する可能性の高い受精卵(胚)を予測できるようになり、体外受精の能率・効率を高めることができます。
初期胚や胚盤胞が複数ある場合、画像から得られる情報を利用して、どの胚(受精卵)が移植(体外受精)に適した良好胚なのかを見分けることができ、従来に比べて妊娠の確率を高める一助となる可能性があります。これにより今まで以上に、受精卵の観察から個々の状況に応じた治療方法の選択も可能となります。
※ただし、同システムで判定できるのは形態的な変化のみで、染色体異常の有無などが判定できる訳ではありませんので、予めご了承ください。