不妊治療にまつわるQ&Apowerd by jineko

移植前に排卵次の治療法は

教えて!

生理3日目に内診をし、遺残卵胞もないとの事でホルモン周期での移植周期に入りエストラーナテープ3枚を開始しました。
D12で内診をすると排卵疑惑が出たため急遽採血をしたところE2が399、P4が6.36で移植中止となりました。
初めてのことでびっくりし、頭が真っ白になり担当医にも理由を聞く事ができませんでした。
その日処方されたプラノバールを10日間服用しています。
4月に移植した時は、ジュリナを飲んでいて排卵はしていませんし、今までエストラーナテープで排卵した事もありません。
次はどのようにしたら排卵をせずに移植ができるでしょうか?

エストラーナテープを貼った後、D12で排卵したそうですが、何が原因だと考えられますか?
排卵を予防するにはどのような方法がよいでしょうか?

エストラーナテープとは
女性ホルモン(エストラジオール)を含む貼付薬で不妊治療において子宮内膜を厚くし着床を助ける目的で使用されることがあります。

フラバノールとは
フラバノールはカカオや茶に含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持ちます。不妊治療では血流改善や酸化ストレス軽減を通じて妊娠率向上が期待されています。

D12とは
生理開始日をD1として数える月経周期の日数の一部で、不妊治療では排卵日や子宮内膜の状態を評価するための目安として使用されます。

お答えします

レディースクリニック北浜 
Dr.奥 裕嗣

肺移植周期にエストラーナテープやジュリナなどエストロゲン製剤のみで実施した場合は2~3%に卵胞発育を認めるという報告があります。
AMHの値が低くてDORが進行して卵巣年齢が進行していますので、おそらく使用した周期は早期卵胞発育を認め排卵を起こしてしまったという可能性が高いと思います。

予防方法としては、当院ではルチンで実施していますが、前周期の高温期の中間ぐらい排卵して高温期の真ん中ぐらい通常7日目前後ぐらいですけれど、例えば28日周期の方だと21日目前後ぐらいからですけれど、アゴニスト(鼻の点鼻薬)を使っていきます。あるいは前周期にピルを10日間飲むような方だとピルのお薬を飲み始めて7日目ぐらいから鼻の点鼻薬、スプレキュアとかブセレキュアを使用することによって、次の周期、実際の肺移植の周期の早期の卵巣発育というのを100%予防する事が可能と考えられています。

AMHとは
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣内の卵胞数を示すホルモンで、不妊治療において卵巣予備能を評価する指標として使用されます。卵巣年齢の目安となります。

DORとは
DOR(卵巣予備能低下)は、卵巣内の卵胞数や質が低下した状態を指し、不妊治療ではAMH値や超音波検査で評価され、妊娠率に影響します。

アゴニストとは
アゴニストは、ホルモン作用を促進する薬で、不妊治療ではGnRHアゴニストが排卵抑制や卵巣刺激の調整に使用され、採卵効率を高めます。

スプレキュア・ブセレキュアとは
スプレキュア・ブセレキュアは、GnRHアゴニスト製剤で、不妊治療において排卵を抑制し、採卵や卵巣刺激のタイミングを調整する目的で使用されます。

質問

不妊治療ではプラノバールはどのような目的で使用されますか?

回答

前週期からピルのお薬を開始することによって1つは月経周期を調節することによって採卵の時期的をある程度調整することが可能です。さらに前週期にピルのお薬を飲むことによって、治療周期のFSHやLH、頭の中の下垂体というところから出るホルモンを適度に抑制して、卵の大きさがシンクロナイズし同じ大きさに卵が揃ってきて、卵胞発育が同じ大きさになることによって採卵した時の成熟率が上がり受精する数も増えて肺移植ができる卵の数も増えるというメリットもあるかと思います。
あと卵巣年齢が落ちている方に前週期からピルのお薬を使ってFSHやLHを抑えることによって早期の卵巣発育を予防し、排卵してしまうケースの予防にもなると思います。
ピルとアゴニストをより併用すると早期の卵巣発育がより確実に予防できるという可能性はあると思います。

質問

現時点で不妊原因は不育症、着床障害、または原因不明と言われているそうです。
AMHは36歳時点で0.81とのことですが、先生でしたらどのような治療を提案されますか?

回答

不妊の原因を書かれているのが不育症と着床障害と書かれていますが、これは同じ方で同じ診断にはなりませんので、おそらく不育症ということだと思います。
不育症を前提でお話しさせていただきます。
1つは不育症の検査、血流がどうか、免疫の異常がないか、赤ちゃんを異物だと思って排除するような奇行があるかなど不育症の血液の検査、あるいはご両親のどちらかに転座の染色体異常がある方はやはり流産を繰り返すことがありますので、そういう不妊の原因をしっかりと調べて、それに対する的確な治療を受けて頂くのが1つかと思います。
それでご夫婦のどちらかに染色体異常があって2回以上流産を繰り返している場合はPGT-SRという検査、こちらは自費の治療にはなりますが、検査を行い正常な卵を胚移植することによって、流産のリスクを下げることができます。

あるいは母体の年齢と共に染色体異常の割合が増えてくる年齢にはなっていますので、胚盤胞になってきた卵にPGT-Aをして正常な卵を胚移植することによって、流産の率も下げて着床する確率も上げていくことは可能かと思います。
ただこちらの治療は保険診療では対応できませんので自費治療となります。

PGT-Aについてはこちら→
不育症についてはこちら→