ビタミンD
担当:カナモリ|2018.08.16
お盆休みはいかがお過ごしでしょうか。
クリニックは暦通りお盆も開院していますが、私はお休みをいただいて帰省してきました。お盆やお彼岸にはお墓まいりをしますが、ご先祖様に手を合わせると命を繋いでいくという事について考えます。ご先祖様あっての自分、そして自分から子供へと命を繋いでいく事がとても尊い事と思えます。培養士の仕事は皆さんにお子さんを腕に抱いていただく事がその本懐であると思っているので、命を繋いでいく事の一端を担えているのかなあと感じました。
さて今回はビタミンDについてのお話をしたいと思います。
ビタミンDは脂溶性ビタミンで必須栄養素の1つです。腸からのカルシウムの吸収を促進し、吸収されたカルシウムを骨へ沈着させ、骨の成長や健康に深く関与していることはよくしられていますが、骨への影響の他に、免疫やがん予防、生殖への影響といった多彩な働きをすることがわかってきました。
妊活においてビタミンDは近年、体外受精などの治療成績を上げるサプリの1つとして認知されています。ビタミンDは免疫調整因子として知られており、不足すると妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、胎児発育遅延などの合併症のリスクが増加します。
また、体外受精を受けている女性の血中ビタミンD濃度は、妊娠率や出産率に関連があることを示す論文や、ビタミンD欠乏は男性の精液所見の低下をもたらすことを示す論文が発表されています。
ビタミンDの至適濃度(20~50 ng/mL)を維持するための1日推奨摂取量は600~800 IU(15~20 μg)ですが、妊娠中および授乳中は1500~2000 IU(37.5~50 μg)必要とされています。2009年の国民健康・栄養調査では、日本人女性の1日平均摂取量は、わずかに7.0μgと報告されています。ビタミンDはキノコ類や魚介類に多く含まれています。脂溶性なので、脂質を含む動物性食品から摂取したほうが吸収されやすいのですが、きのこ類でも炒め物や揚げ物にして油とともに摂取することで吸収率を上げることができます。妊活のためだけでなく健康の為にも夫婦でビタミンDの摂取を心がけるのがいいかもしれませんね。
ただし持続的な過剰摂取は、体調不良(悪心嘔吐、食欲不振)、内蔵へのカルシウム沈着・石灰化の原因となることがあるので注意してください。