ゲノム編集された赤ちゃんの誕生
担当:カナモリ|2019.01.22
年が明け、1月も後半にさしかかりました。だんだんと日が長くなってきましたね。インフルエンザが猛威を振るっているようです。皆さんもお気をつけください。
昨年 年末 衝撃のニュースがありました。
中国のとある准教授が受精卵にゲノム編集を行い、その受精卵によって双子がすでに誕生しているというニュースです。論文として発表されてはいないもののプレゼンの内容から事実である可能性が高いと見られていましたが、先日 調査チームによって事実であることが認定されました。
問題点はたくさんあります。
夫婦の夫側がHIV陽性であるために、行ったということですが
夫がHIVに感染している場合、生まれてくる子供が感染しないように妊娠する方法は複数あるため、このゲノム編集は全く必要のないものであると言えます。
また、インフォームドコンセントは問題の教授自身が行っており、第三者から見たメリット デメリットを夫婦がきちんと認識していたのか、公平性に疑問があるということ。
二個の受精卵を胚移植し 双子の片方はゲノム編集によりCCR5遺伝子を2本欠損させていて(この遺伝子が欠損しているとHIVに感染しません)、もう一方の赤ちゃんはCCR5を一本残してあることから、コントロールの為と考えられ、 実験感覚で行われたのでは、という非難が噴出しています。(一本遺伝子が残っている赤ちゃんはHIVに感染する可能性があります。)また、CCR5を欠損させたことにより、HIVには感染しないとはいえ、他の病気に感染するリスクは増加しています。
1番の問題は、全く何の問題もない受精卵に対してゲノム編集を行ったことです。
教授は倫理委員会の審査を受けたと主張していますが、中国の問題になっている病院側は倫理書類に偽造があるとして捜査を依頼しています。また所属している大学も全く把握しておらず、関与を否定しています。もちろん中国国内でも医療ガイドラインに違反しています。また、子孫に受け継がれていくことを考えれば、非常に重大な事件だと思います。
懸念されていたことではありますが、とうとう現実の問題として私たちに突きつけられる事となりました。これにより、世界中で議論が巻き起こっていますが、現状 実現できる技術がある限り、今後もこのような事態が起こる可能性はあると思われます。
これから先の私たちの未来がどうなっていくのか非常に心配になるニュースでした。