男性不妊症
担当:ハシイ|2025.02.23
培養室のハシイです。
今回のテーマは『男性不妊症』です。
男性不妊症を治療することによって、タイミング法、人工授精、体外受精の成績が改善されることがわかってきています。男性不妊の原因の80%以上は造精機能障害であり、残りの20%は性機能障害と精路通過障害です。造精機能障害は、精子を造る機能に障害があり、精子の数の減少や運動率の低下をもたらします。さまざまな生活習慣が造精機能に影響を与えます。具体的には、食事、飲酒、喫煙、睡眠、運動などです。特に喫煙は精子形成と強く関与しており、精子濃度、運動率、正常形態率が明らかに低下することが報告されています。喫煙されている方はこれを機に禁煙に取り組んでみてはいかがでしょうか。また、育毛剤の成分として用いられているフィナステリドやデュタステリドは、アンドロゲン作用を抑制し造精機能に影響するため、不妊治療中は使用しない方が好ましいです。
2015年度の全国調査研究報告書では、漢方薬、ビタミン剤、サプリメントなどで乏精子症や精子無力症に対して有効だったと報告されています。
・ビタミンE:精子の酸化を防御し、精子の運動率を維持する。
・ビタミンB12:精巣におけるDNA合成を介した代謝賦活作用がある。
・亜鉛:精子の細胞膜の安定化、精子アクロシン活性の抑制、精子運動能の改善
・コエンザイムQ10:ミトコンドリア内膜に分布する脂質の一種であるユビキノンの1つであり、精子のエネルギー代謝を促進する。
・L-カルニチン:ミトコンドリアの活性化およびATP産生による精液所見の改善
・補中益気湯:精子濃度や運動率の改善
当院では月に1度、主に第一土曜日に男性不妊外来を設けております。気になる方は診察時にご相談されてみてはいかがでしょうか。